琉球新報

2005年8月27日(土)

石垣でリゾートホテル計 画ラッシュ 6社が開発申請 

 【石垣】観光ブームに沸く石垣島で、リゾートホテルの開発計画が相次いで石垣市に申請されている。八重山ブームと新空港の事業化決定が背景に あ り、これまでに6社が建設を目指し、同市に開発申請を行っている。そのうち5社が6階建て以上の高層ホテルの建設を計画している。
 これに対し石垣市は海岸線の景観の変化を懸念し、今後、開発を規制する構えを見せている。
  石垣島では、新空港建設事業が決定した2004年秋ごろから、県外の大企業などによる高層ホテルの建設計画が持ち上がった。同島は住宅地、行政機関、商店 街など、都市機能や経済活動の拠点が島の南側に集中、市街地以北には手付かずの自然が広がる。その地域で、これまで6件の計画が石垣市に提出されている。

 これに対し、ホテル開発予定地で地域住民の反対の声が上がっている。8階建てホテルの建設が予定されている新川に、5年前に家を建てた秦健次さん (39)は「自然が豊かで、静かな場所に家を造ったのに、ホテルができれば環境がガラリと変わる。住民の意見を聞いて、計画を変更してほしい」と訴える。 石垣市も自然の景観を残し、乱開発を防ぐことを目的に、6月から施行されている「景観法」に基づく開発規制を視野に入れ、職員の研修などを行っている。
 景観法は、地域の自然や歴史、文化などと、住民の生活、経済活動の調和した土地利用を図る国内初の「景観」に関する法律。バブル期の全国で起きた乱開発 問題を教訓として策定され、国土交通省が地域に合った景観づくりを支援する。同市の小濱致辰都市建設部長は「自然環境を考慮に入れた開発が大切。建設地域 だけではなく、石垣市全体の問題」として、同法の有効利用を目指している。
 一方で、開発申請を行っているある業者は「過去に住民がリゾートホテルの誘致に動いた経緯もある」と指摘。「景観が崩れるというが、ハワイなど観光で成 り立っているところは高層ホテルが海岸沿いに建設されている。石垣島は年々観光客が増えているので、収容する施設も必要ではないか」と大型ホテルの必要性 を訴えた。

(8/27 11:36)