○石垣市自然環境保全条例
平成3年12月20日
条例第34号
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第14条第1項の規定に基づき、他の法令に特別の 定めがあるものを除くほか、石垣市の良好な自然環境を保全することによつて、豊かな自然の恵みを享受し、現在及び将来の市民の暮らしにうるおいと安らぎを 確保することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 「自然環境」とは、市民の生活に密接な関係のある森林、草生地、湿地、山岳、池沼、河川、海岸(海域 を含む。)及び動植物等をいう。
(2) 「開発行為」とは、土地の区画形質の変更(水面の埋立て又は干拓を含む。)をいう。
(3) 「建築物」とは、建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物をいう。
(4) 「特定工作物」とは、都市計画法(昭和43年法律第100号)第4条第11項に規定する特定工作物を いう。
(市の責務)
第3条 市は、自然環境の適切な保全が図られるよう、この条例の趣旨の徹底を図り、かつ適切な施策の遂行に努 めるものとする。
(住民の責務)
第4条 住民(滞在者及び旅行者を含む。)は、この条例の趣旨を理解し、自然環境が適切に保全されるよう自ら 努めるとともに、市が実施する施策に協力するものとする。
(事業者の責務)
第5条 本市において開発行為を行おうとする者(以下「事業者」という。)は、その開発行為の実施に際し、常 に自然環境が適切に保全されるよう配慮し、必要な措置を講ずるとともに、市が実施する施策及び措置に協力するものとする。
(審議会の設置及び所掌事務)
第6条 地方自治法第138条の4の規定に基づき、本市に石垣市自然環境保全審議会(以下「審議会」とい う。)を置く。
2 審議会は、市長の諮問に応ずるほか、自然環境の保全に関する事項について調査又は審議し、必要と認める事 項について市長に意見を述べることができる。
第2章 地域等の指定
(自然環境保全地域)
第7条 この条例に規定する自然環境保全地域(以下「普通地域」という。)は、次条及び第9条に規定する地区並びに都市計画法に基づく地域地区等を除く本市全域 とする。
(自然環境特別保全地区)
第8条 市長は、現在の自然環境を将来にわたつて保全することが必要な地区又は海域について、自然環境特別保 全地区(以下「特別地区」という。)として指定することができる。
(緑地環境保全地区)
第9条 市長は、自然的社会的諸条件からみて、現在の緑地環境を将来にわたつて保全することが必要な地区につ いて、緑地環境保全地区(以下「緑地地区」という。)として指定することができる。
(保全種及び保全樹の指定)
第10条 市長は、次に掲げる動植物、樹木を保全種又は保全樹として指定することができる。
(1) 本市に生息又は生育する動植物(海域の動植物を含む。)で、市民に親しまれている種、由緒ある種又は 学術上重要な種(以下「保全種」という。)
(2) 市民に親しまれてきた樹木又は由緒ある樹木で、その地域における良好な自然環境を維持するために保全 が必要と認められる樹木(以下「保全樹」という。)
(地域等の指定手続)
第11条 市長は、前3条に基づく地域等の指定を行うときは、審議会の意見を求めなければならない。
2 市長は、地域等の指定の際、あらかじめ土地の所有者その他当該土地について権利を有する者(以下「所有者 等」という。)の同意を得たうえで指定の趣旨及び地域等を告示しなければならない。ただし、第10条第1号については所有者等の同意は、これを要しない。
3 前2項の規定は、地域等の指定の変更及び解除について準用する。
第3章 普通地域における保全
(開発行為の届出)
第12条 普通地域内において、次の各号に掲げる開発行為を行う事業者は、あらかじめ市長に届け出なければな らない。
(1) 建築物の建築、又は特定工作物の建設の用に供する目的で行う500平方メートル以上の一団の土地の造 成その他土地の区画形質を変更する行為
(2) 赤土の流出により河川、海域その他自然環境を損なうおそれのある行為
(3) 前2号に掲げるもののほか、自然環境を損なうおそれのある行為
2 前項の規定は、通常の管理行為又は非常災害のために必要な応急措置として行う行為については、これを適用 しない。
(国等に関する特例)
第13条 前条に規定する届出は、国又は地方公共団体その他規則で定める法人(以下「国等」という。)が行う 開発行為については、これを要しない。この場合において、市長は、当該国等の機関に対し、その開発行為の内容について、あらかじめ通知するよう要請するこ とができる。
2 市長は、前項の規定による通知があつた場合において、当該通知に係る開発行為が自然環境の保全に支障があ ると認めるときは、当該通知をした国等に対し、必要な要請をすることができる。
(同意)
第14条 市長は、届出のあつた開発行為が適切であると認めたときは、同意するものとする。
2 市長は、前項の同意をするときは、開発行為に関する条件を付すことができる。
3 市長は、虚偽その他不正な手段により同意を受けたと認められる事業者、若しくは同意に付した条件に違反し た事業者に対し、同意を取り消すことができる。
(開発協定の締結)
第15条 事業者は、前条に規定する同意があつたときは、市長と協議し開発協定を締結しなければならない。
第4章 特別地区における保全
(開発行為の制限)
第16条 特別地区内においては、開発行為をしてはならない。ただし、陸域に限定した開発行為については、市 長が自然環境の保全に支障がないと認めて許可したときは、この限りでない。
2 前項本文の規定は、次に掲げる開発行為については、適用しない。
(1) 自己の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為で、500平方メートル未満の開 発行為
(2) 通常の管理行為又は非常災害のために必要な応急措置として行う行為
(開発許可申請)
第17条 前条第1項ただし書の規定により開発行為を行おうとする事業者は、あらかじめ市長の開発許可(以下 「許可」という。)を受けなければならない。
(国等に関する特例)
第18条 第13条の規定は、前条の規定による開発許可申請について準用する。
(許可)
第19条 市長は、許可申請のあつた開発行為が自然環境の保全に支障がないと認めたときは、許可することがで きる。
2 市長は、前項の許可を行うときは、審議会の意見を求めなければならない。
3 市長は、第1項の許可を行うときは、開発行為に関する条件を付すことができる。
4 市長は、虚偽その他不正な手段により許可を受けたと認められる事業者又は許可に付した条件に違反した事業 者に対し、許可を取り消すことができる。
(開発協定の締結)
第20条 第15条の規定は、前条の規定による許可について準用する。
第5章 緑地地区における保全
(開発行為等の制限)
第21条 緑地地区内においては、開発行為をしてはならない。
2 緑地地区内においては、樹木を伐採し、又は除去をしてはならない。ただし、通常の管理行為又は非常災害の ために必要な応急措置として行う行為については、この限りでない。
(樹木除去等の届出)
第22条 前条第2項の規定にかかわらず、樹木を伐採し、又は除去しようとする者は、あらかじめ市長に届け出 て、その承認を得なければならない。
第6章 保全種及び保全樹の保全
(保全種の保全)
第23条 第10条第1号に規定する保全種を捕獲し、若しくは殺傷し、又は採取し、 若しくは損傷してはならない。
(保全種捕獲又は採取の届出)
第24条 前条の規定にかかわらず、学術研究上から保全種を捕獲し、又は採取しようとする者は、あらかじめ市 長に届け出て、その承認を得なければならない。
(保全樹の保全)
第25条 第10条第2号に規定する保全樹を伐採し、又は除去してはならない。ただ し、通常の管理行為又は非常災害のために必要な応急措置として行う行為については、この限りでない。
(保全樹除去の届出)
第26条 前条の規定にかかわらず、保全樹を除去しようとする所有者等は、あらかじめ市長に届け出て、その承 認を得なければならない。
第7章 開発行為等に対する指導 
(住民の同意)
第27条 事業者は、第12条に規定する届出及び第17条に規定する開発許可申請を行うときは、規則で定める住民及び住民 団体に対し、あらかじめ当該開発行為の内容について周知するとともに、その同意を得なければならない。
(指導又は助言)
第28条 市長は、開発行為等の届出又は許可申請があつた場合において、当該開発行為等が自然環境の保全に支 障があると認めるときは、当該届出又は許可申請をした事業者に対し指導又は助言をすることができる。
(立入検査)
第29条 市長は、この条例の規定を施行するため必要な限度において、その職員に開発行為の場所又は事業者若 しくは工事施工者の事務所若しくは事業所に立ち入らせ、工事の実施状況、工事に関する図書、付随する建築物又は特定工作物その他の図書を検査させ、若しく は当該関係者に質問をし、意見を聴取させることができる。
2 前項に規定する立入検査を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があつたときは、これ を提示しなければならない。
(監督処分等)
第30条 市長は、次の各号のいずれかに該当する事業者に対し、自然環境の保全に必要な限度において、この条 例の規定によつてした同意又は許可の効力を停止し、その条件を変更し、若しくは新たに条件を付し、又はその開発行為の中止を命じ、若しくは相当の期限を定 めて原状回復を命じ、若しくはこれに代わるべき必要な措置をとることを命ずることができる。
(1) 第12条第1項又は第16条第1項若しくは第21条第1項の規定に違反して開発行為をした事業者
(2) 虚偽その他不正な手段により第14条第1項の規定による同意又は第19条第1項の規定による許可を得た事業者
(3) 第14条第2項の規定による同意又は第19条第3項の規定による許可に付した条件に違反した事業者
2 市長は、前項に掲げる監督処分等に従わない事業者について、その事業計画及び違反内容等について、公表す ることができる。
3 事業者は、第1項の規定による監督処分等に基づく原状回復、又はこれに代わるべき必要な措置を完了したと きは、10日以内に市長にその旨を報告しなければならない。
第31条 削除
(平9条例1)
第8章 雑則
(援助)
第32条 市長は、自然環境の保全に資するため必要があると認めるときは、住民及び住民団体を対象として予算 の範囲内において補助金の交付その他の援助をすることができる。
(土地等の買取りの希望の申出)
第33条 特別地区内の所有者等は、地区指定によりその土地の利用に著しく支障を来すこととなる場合は、市長 に対し、当該土地等の買取りを希望する旨申し出ることができる。
2 市長は、当該申出に係る土地等の買取りをする必要があると認めるときは、当該申出に係る土地等の買取りの 協議を行う旨を当該申出をした所有者等に通知するものとする。
(委任)
第34条 この条例の施行に関して必要な事項は、規則で定める。
第9章 罰則
(罰則)
第35条 次の各号のいずれかに該当する者は、50万円以下の罰金に処する。
(1) 第12条第1項又は第16条第1項第17条若しくは第21条第1項の規定に違反して開発行為をした事業者
(2) 虚偽その他不正な手段により第14条第1項の規定による同意又は第19条第1項の規定による許可を受けた事業者
2 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
(1) 第14条第2項の規定による同意又は第19条第3項の規定による許可に付した条件に違反した事業者
(2) 第23条又は第25条の規定に違反して開発行為をした事業者
(3) 第30条の規定による監督処分等に従わない事業者
3 次の各号のいずれかに該当する者は、20万円以下の罰金に処する。
(1) 第22条又は第24条若しくは第26条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
(2) 第29条の規定による立入りを拒み、又は妨げた者
(3) 第30条第3項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
(両罰規定)
第36条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業員がその法人又は人の業務に関して前 条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金を科する。
附 則
1 この条例は、規則で定める日から施行する。
(平成4年規則第9号で平成4年4月15日から施行)
2 石垣市伝統環境保存条例(昭和48年石垣市条例第45号)は、廃止する。
3 この条例の施行前においてなされた都市計画法の規定に基づく開発許可申請は、この条例の規 定に基づき申請されたものとみなす。
附 則(平成9年条例第1号)抄
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において規則で定める日から施行す る。