八重山ダイビング協会・環境対策委員会「大和ハウス・米原リゾート建設計画」反対声明
・ 米原ビーチの観光貢献度は八重山No1!

 米原ビーチは、夏期(5月〜10月)の八重山で最も旅行者の集まるところです。これはなぜでしょう?
 今は数少ない健全なサンゴ礁のビーチで、水 辺すぐ近くに生サンゴを見る事が出来て魚が沢山泳ぐとても楽しいビーチだからです。米原サンゴ礁の豊かさは旅行者に限らず市民も良く知るところ で、夏のPTAキャンプなど最も人気があるのも米原ビーチです。 石垣島のビーチを代表するポイントになった米原ビーチは、沖縄の海遊びは海水浴ではなくスノーケリングがより楽しい事を教えてくれました。 沖縄県内で他に比較できるビーチが少なく、ケラマ諸島もオニヒトデが発生している現在、ますます石垣島観光を未来に発展させうる貴重な 観光資源です。
 ハワイで最も代表的なスノーケリング・ポイントに「ハ ナウマベイ」が ありますが、米原ビーチで泳ぐ旅行者から聞いた事があります。「ハナウマベイよりこっちがずっとすごい」。 沖縄本島からの旅行者すら米原ビーチを散策しながら「すごいきれい、これが昔の沖縄の海なのね」。
 毎年50万人以上沖縄を訪れるダイバーからは、 沖縄本島はサンゴが全然無くて、ケラマ・宮古もオニヒトデが見られ、サンゴ礁が唯一残るのは八重山だけの知見が広まりつつあります。




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・米原の海と山の不思議と石垣島一健全なサンゴ礁環境

 豊かなサンゴ礁環境が他海岸と比較して現在まで存続できたのは、平地が少なく、背後にそびえる花崗岩山塊の 桴海於茂登岳(ふかいおもとだけ)原生林、海岸を縁取る自然海岸林の隆起石灰岩地質の地理的条件があったからです。
 サンゴ礁環境をとらえる時、波打ち際から礁縁まで含めてこれほど健全な海域は、石垣島の他の海岸には見つかりません。その生物多様性・ 健全性は大和ハウスのリゾート計画地前に顕著で、波打ち際のサンゴや藻場の混成帯を覗けば誰もが確認出来るほどです。
 海岸線は豊かな森からいくつもの渓流がサンゴの海に流れ込み、海岸を縁取る石灰岩段丘から流れ出る地下河川が無数にあって、 海中に伏流水となって流れ出ています。米原ビーチの礁縁をダイビングすると、大きなクレパスや洞窟には隙間すら無い程の 小魚ウスモモテンジクダイが群れ、それを狙うカスミアジなど回遊魚、大きなカノコイ セエビや鶏サイズのミノカサゴ、コクハンアラが 住み着き、森の恵みが目の当たりに確認出来ます。
 サンゴ礁環境における陸との関わりが注目され、マングローブからイノーの藻場を経てサンゴ礁に至るトータルな視点がサンゴ礁保全の常識と成りつつあります。 米原地区はマングローブこそありませんが、森とサンゴ礁が直接つながる不思議を備え、沖縄県内でも他に見られない貴重な自然環境です。 その海域は豊かなサンゴ礁だけでなく、星砂で有名になった有孔虫が 多量に生息しており、今は生息しないオオジャコ の殻10対程が水辺から少しの ところに転がり、過去の生息を示す貴重な海域です。
 水辺すぐから生息するハマサンゴ群落(マイクロアトール)を過ぎると成長・回復の早いテーブル状や枝状のミドリイシ類やウスコモン などのサンゴお花畑が現れ、そこを過ぎるといったん浅くなって藻場が現れ、その先は耐波性を備えたハナヤサイサンゴ等が外に向かって 密度を増し、一気に深みに落ちる礁縁は最も造礁サンゴ類の多様性を備えます。健全なイノー形態が水辺から礁縁まで観察できるのは 石垣島でも数少なく、今では米原ビーチだけになってしまいました。
 森を見ると米原のヤエヤマヤシ大群落は一族一種の八重山のみに自生する希少種で、原始の島と言われる西表島のヤエヤマヤ シ群落以上の規模と歴史を備えます。一部宅地造成が進んでいるものの米原の桴海於茂登岳が備える原生自然の森と、数少ない健全性を残す サンゴ礁をまず確認・調査することをお願いします。




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・希少観光資源への認識と今後の対応

 これら世界遺産の対象にもなり得る貴重性と特異性を過去から現在まで一度も調査せずに、無謀な開発を安易に許す事は 観光石垣島にとって貴重な観光資源を失う可能性が大です。大型ホテル建設という観光産業発展のために、大事な観光資源を失う事に対して、 石垣島の未来を造らなければいけない行政(石垣市役所)は、建設により米原ビーチのサンゴ礁破壊を招いた時に、石垣市民や観光業者に 対してどのような責任をとれるのでしょうか?ヤンバレーから米原にかけての農振地解除と無秩序な宅地開発には、多数の市民から疑問の声が 聞こえてきます。すでにリゾートの時代は終焉しています。長引く不況下にあって遠隔地の高い旅行費にもかかわらず順調に増加する 入域者数は、石垣島の自然環境があってこそ起こりえた現象なのに、その石垣島ブームに便乗した島の魅力を理解しない開発が島の魅力を 壊しかねないのですから、開発側の自己矛盾ははなはだしいのです。それでなくても安い宿泊施設が市街地に大増加している時、 大型ホテル経営の採算性は大変厳しく、建設会社の利益追求だけが目的で、その1企業の利益追求が石垣島ブームを 一気に壊しかねないのですから開発許認可に関わる石垣市役所の責任は重大なものがあります。

・オニヒトデ被害による壊滅サンゴ礁の種苗供給元だった石垣島北海岸

 米原ビーチは今年度沖縄政策協議会計画の重要サンゴ礁50選候補にも十分対象となり、石垣島の国立公園制定に向けては、25年前のオニヒトデ被害1998年の白化で 痛めつけられた後いち早く回復したのもこの海域で、陸海あわせた国立公園指定区域対象になります。環境省が推進する 石西礁湖自然再生でも注 目されるオニヒトデ被害からの回復も、 サンゴ種苗供給元も実は石垣島の北海域サンゴ礁だった可能性が高く、その中でもより特異性を備えるのが米原です。
 オニヒトデ被害からいち早く回復を示したのは山のある石垣島や西表島からだった事は漁民やダイバーの良く知る所です。 西表島は陸域に豪雨の汚濁を吸収する隆起石灰岩地質がわずかしか無く、地質も石垣島と違って崩れやすい堆積岩から成るため、 水辺近くに生サンゴが生息するビーチは極わずかです。これら八重山海域のサンゴ礁回復・再生経緯を考察すると、石垣島は古生層と 花崗岩の固い地質が島の軸となって農地の大半を占める大面積の隆起石灰岩地質を備える事などから、八重山海域サンゴ礁にとって 石垣島がいかに重要な意味を備えるか推測できます。黒島などの山の無い島の回復が最も遅れました。




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・持続可能な観光産業にとってのサンゴ礁環境の存続・維持

 米原の自然環境は米原地区住民だけのものではない事が明らかで、石垣島全体や八重山観光にとって高い比重を持つことが理解で きたでしょうか。 復帰後のサンゴ礁環境衰退は海域を生活の場とする漁民に漁獲高減少の被害を与え(サンゴ礁が回復しても魚が増えない、戻らないのはなぜか? サンゴ礁生態系未配慮の 復帰後からの陸域開発 影響、特に赤土汚染などが与えた結果です。) ダイビング業者は重要な職場海域を失いかねず、市民や旅行者・旅行業界・航空会社にとっても米原の大型ホテル建設がもたらす サンゴ礁環境衰退は大きな衝撃となるでしょう。




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