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現在、パナマ地峡を挟んで、太平洋側にはオニヒトデ
が分布している
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オニヒトデが種として太平洋に出現したのは約100
万年前と
推定されている
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パナマ地峡が形成され、太平洋と大西洋が分断された
のは約200万年前と推定されている
(つまり、地峡を越えて大西洋側に移動する事ができない状態が先行した)
プレートの移動 http://www2.nature.nps.gov/grd/usgsnps/pltec/scplseqai.html
パナマのオニヒトデ(映像)http://www.taylord.com/preston/crown.html
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オニヒトデのほうから刺しに来ない:刺されないよう
に、余計な手を出さないこと
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繰り返し刺されると感受性が高まって症状が激しくな
る人があるらしいので要注意
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棘がもろくて折れやすく、折れた後で体内に残る可能
性もある
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医療処置: 重症であれば医者に任せる
外見ではできない:生
きたままで雌雄を判別したい時は、生殖巣の中から生殖細胞を注射器などで吸い取って顕微鏡で見ればわかる
これまで多くの飼育例
があるが、共食いが観察された例は全くない:飢え死ぬ寸前までの飢餓状態でも共食いは起っていない
ヒトデ類の体内には
「サポニン」と呼ばれる溶血性の毒成分が含まれるので、それを食べる動物は限られる:サンゴ礁の上で体を露出させて目立つ色をしているアオヒトデなどの体
表組織内にはかなり強い毒成分が含まれている
大発生した後はますますオニヒトデは増えるばかりだと思うのですが、なぜ大発生は自然におさまるのですか
大
発生して餌であるサンゴ類を食べつくした後でその場所で増え続けることはできない。食べつくされたサンゴの群落が回復するためには10年以上かかるので、
その間はオニヒトデは別の場所で生き延びることになる。つまり、オニヒトデは、ある場所でサンゴを食い荒らし、そこから浮遊幼生をばら撒いて後の世代は別
の場所にたどり着かせる戦略(ヒットエンドラン)を続けている。ところがこの戦略は成功率が低くて長続きはしないようなので、われわれが通常見ているのは
サンゴ礁でオニヒトデが少なくて目立たない状態となる。そこで「大発生」が「異常事態」ともみなされることにもなる。一般的に野性動物の大発生は、そもそ
も不安定な状態であり、病気の発生などで自滅する可能性も高い。
最近あるテレビ局で「われらサンゴ防衛隊」と称して駆除費用の基金をつのっているが、やはりあれも逆にサンゴに悪影響
を与えるのでしょうか(自分自身はこのテレビ局の企画が余り好きではなく、それはオニヒトデを駆除する前に人間の改善すべき点が多くあると思うからである)
悪
役を創ってそれをやっつける手法は素人受けしやすいので、マスコミ関係者の安直な思考回路に乗りやすい。マスコミ・キャンペーンの「われらサンゴ防衛隊」
などは、オニヒトデを駆除することにばかり眼が向けられていて、沖縄の沿岸環境で深刻化している埋立てや水質汚染などの環境破壊の問題から一般の眼を逸ら
せる効果がある。
赤
土の流出はオニヒトデの異常繁殖とは何か関係があるのですか
沖
縄が本土に復帰した1972年ころから急激に進められた公共土木工事や観光開発事業で赤土汚染が大規模に始まった少し前の1969年から、オニヒトデもタ
イミングを合わせたかのように恩納村から本部町にかけて大発生を開始し1970年代に沖縄本島全域に広がった。したがって、見かけ上赤土流出がオニヒトデ
の大発生を導いたように見えたところもあったし、また(実証されていないが)理論的に陸上からの栄養分が赤土と一緒に流れ出てオニヒトデの幼生の餌条件を
増進させて成長を促し、生存率を高めたという説明も流された。以上の状況証拠などから、赤土汚染がオニヒトデの大発生(異常繁殖)を導いたと主張するよう
な学者も現れ、マスコミもそれを流した。しかし、1969年に始まった大発生は1966年生まれのオニヒトデが成体に成長した集団によるものであって、そ
の最初の段階は赤土汚染が始まる以前に起源があった。そして、その後は赤土流出の有無に関係なく、沖縄本島と周辺離島、先島諸島、奄美群島のあらゆる島々
に広がった。この事態からは、浮遊幼生の分散や定着に関する生存条件について琉球列島の全域に影響を及ぼした沿岸海洋の環境条件(気象、海況)を考える方
が合理的である。
沖縄のオニヒトデ分布図(1972年の調査結果)で集団が恩納村沿岸に集中していたのはなぜだろう
オ
ニヒトデの浮遊幼生が、ある産卵場所から広がって集団として分散してから定着する場合、その浮遊期間の間に10キロ程度の範囲に広がるものと予想される
(外洋での拡散データによる)。オニヒトデ幼生は夏場に生まれるが、その時期に島の西北側に面している恩納村から本部にかけては、卓越風の影になっていて
沿岸の海水(つまり幼生)が滞留しやすいのだろう。グアムのオニヒトデ大発生でも地形的に同様な西北方向に向いた10キロあまりにわたる海岸線のサンゴ礁
で始まったので、発生の初期状況が沖縄本島の場合にとてもよく似ていた。
オニヒトデの成体の天敵を使って大量発生を鎮めることはできないか
オニヒトデだけに制圧
効果が期待できる天敵は知られていない。陸上では有害種の駆除を目指した天敵導入で生態的な「かく乱トラブル」が続いた。天敵が有効なケースは、農地など
の限られた範囲で、種特異性、選択性が特に強い捕食者が存在したような場合だけであろう。
オニヒトデの色は場所によって違うようですが、まわりの環境によって色は変わってくるのですか
ま
ず最初に断っておく必要があるが、オニヒトデの色彩は同じ集団の中に含まれる個体で異なっており、さらに異なる海域で集団間を比較すると、個体ごとの色の
現れかたでも出現組成が異なっている。つまり、同じ環境に生息するオニヒトデにおいて、個体ごとに色が違っている事を踏まえる必要がある。餌によって色が
変わる例も貝類ではあるが、オニヒトデはサンゴ類を専門に食べるので、餌による色彩の差異が生じることは考えにくい。環境(背景)に合わせて色を変えるこ
とはおそらくしないだろう。
稚ヒトデ
が石灰藻を食べ、成体になってサンゴ食に食性が変化するのは、オニヒトデの成長の過程で体内の消化酵素や消化の仕組みなど、どこかが大幅に変化するという
ことなのでしょうか(関連した質問:オニヒトデの成体はサンゴ(類)しか食べないか)
消
化酵素にはそれが働く物質に(基質)特異性があるから、良い点に気がついた質問である。オニヒトデの成体は実験室では様々な餌を食べる。しかし、温帯のヒ
トデ類のように生きている貝類を襲って食べることはない。イカの肉を与えて実験飼育できるし、死んだ二枚貝の肉も食べる。また、生きているウニ類を襲って
食べた例もある。さらに、成体のオニヒトデも付着性の微細藻類を食べるようである。しかし、Lucas等の実験結果では、稚オニヒトデに餌サンゴを与えず
藻類だけ食べさせて飼育を続けたものは成長が停止した。したがって、餌としてサンゴ類を食べることは成長と繁殖に欠かせないと考えられる。オニヒトでの消
化酵素については、具体的にはサンゴが体内で栄養貯蔵する脂質を消化する酵素が成体にあることしか研究されていない。一般論として、食性の変化時に消化酵
素の交代あるいは追加(発現)がリンクされているものと想像できる。
オニヒト
デが稚ヒトデ時代に藻類食であることから、成体でも褐虫藻を食べるためにサンゴを食べるということはないか(関連質問:白化したサンゴをオニヒトデは食べ
るか)
褐
虫藻はサンゴの組織と共に消化されているようであるが、褐虫藻を主な栄養源にしているとは思えない。上の質問で答えたように藻類だけでは成長しないし、サ
ンゴの代わりにイカを与えても成長する。白化サンゴが出現するような高い水温の状況ではオニヒトデも食欲を失うので、おそらく食べ(られ)ないだろう。
オニヒト
デ1個体はどのくらいの速さでサンゴを食べるか
まばらに棲息している
場合は夜行性で1晩1回の食事が標準であり、その場合はオニヒトデの体盤部分の面積にあたる範囲のサンゴを(胃で覆って)食べる。しかし、大発生の時(高
い密度の集団)は昼間も食べ続けていることがあるので、食べられる量は増えているだろう。
異なった
海域で形態や色彩が異なったオニヒトデが見られることは、それらが「亜種」と言えるのか(環境による変異なのだろうか)
「亜
種」とは集団として形態や色彩、行動などについて区別できる差異が異なった地域集団間で認められる場合に言う。しかし、最近の生物学では「亜種」というカ
テゴリーを使わない傾向がある。これは「種」という概念が明確に定義できないのに、それをさらに細分しても意味が無いからである。オニヒトデに限らず、一
つの繁殖集団の中では個体変異が見られ、地域集団ではそれらの変異の出現頻度が異なっている。また、「環境」と「遺伝」は互いにかかわりあっているので、
「環境による変異」という言い方で現実の姿を考えることは説明にはならない。離れた海域に分布し、遺伝的な交流が弱い集団間では、遺伝子頻度が変化して異
なった姿に進化する。その背景としておそらく「環境」も働いているのだろう。しかし、オニヒトデの腕の数が平均値として沖縄よりもグアムやオーストラリア
で数本多くなるような海域間の差異を「環境」の違いで説明するのは難しい。
ヒトデ類
には体の一部を切り離して再生する無性生殖ができるものがあるが、オニヒトデを切り刻んだ断片はそれぞれが再生できるか
ヒ
トデ類の再生能力は伝説的であって、オニヒトデについてもインターネットの上で「海中で切り離された部分がそれぞれ再生して数が増える」という記述も見ら
れる。しかし、「体分裂」や「腕の自切から再生」という方法で無性的に繁殖するヒトデの種類は実際には少なくて、大部分のヒトデ類では部分的な再生ができ
るにすぎない。オニヒトデの場合、等しく二つに切断されたものはそれぞれが再生する能力を保っているらしいが、4つ以上に切断するとほとんど生き残らない
ようである(特に、体盤が含まれない部分は死滅する)。また、「オニヒトデを切り刻むと生殖細胞が海中で発生して増える」という迷信も流布されている。し
かし、オニヒトデの卵細胞は生殖巣から切り出されても人為的に授精させることができない状態に保たれているので、受精・発生することはない。
オニヒト
デ駆除でホルマリン注射をすると海の汚染にならないのか
ホ
ルマリンは劇薬であるホルムアルデヒド(常温で気体)を水に溶かした状態の液体で、原液には容積で35%くらい溶けている。学術研究用に生物の固定標本を
作るときにこれを希釈して使っている。特に医学部では解剖用の死体を保存するために使う。水産養殖で一部の魚の寄生虫駆除にホルマリン海水浴が利用された
ことがあるが、本来使ってはならないものである。オニヒトデ駆除には、周囲に影響を及ぼすおそれからか、日本では使われてこなかった。他の薬品、例えばア
ンモニアや硫酸銅などを使ってヒトデを殺すことができる。ホルマリンなどの薬品を使う場合、海水で希釈されて濃度が低くなれば影響は小さくなる。また、微
生物などによって分解されて無害にもなるだろう。生物濃縮が起こる可能性は考えられないし、もともとホルムアルデヒドは生物によってはこれを生産して体内
に蓄積するものもある。海中で使用したあとに汚染の影響が残ったり広がったりする心配は少ないだろう。
オニヒト
デを育てることで一番難しかったことは何ですか
オ
ニヒトデを実験室で卵から親まで育てる間に一番苦労したのは「水温」であった。室内温度が摂氏約25度だった実験室で最初の数回の飼育では発生の途中で成
長が止まってしまい、すべての幼生が退化してしまった。水質や餌は問題なかったので水温が怪しいとにらんで、自然状態の28度に上昇させたら、すぐ成功し
た。十分高い温度であろうと思っていた25度が発生が進むかどうかの境界温度となっていたとは夢にも考えられなかったので驚いた。温帯では飼育温度が高い
とトラブルが起こりやすいので、わざわざ低めに設定することが普通だったからである。この経験から熱帯の動物が低水温に弱いことが印象に残った。(しか
し、親になったオニヒトデは17−18度くらいまで耐えられる)
最近騒がれているもの
では、日本海におけるエチゼンクラゲと沖縄から西日本のハリセンボンがある。
エチゼンクラゲ:日本
海でエチゼンクラゲが異常発生(島根県沖から福井県沖の日本海で8月ごろから、巨大なかさで知られるエチゼンクラゲが異常発生し、漁業が大きな被害を受け
ている。
エチゼンクラゲ(情報新潟県水産海洋研究所)
ハリセンボン:
2002年04月27日 高知新聞ニュース ハリセンボン異常発生 定置網を痛撃 漁協お手上げ 志布志の海岸にハリセンボン1300匹の死が
い漂着
南日本新聞ニュース NEWS PICKUP 2002/05/23
オニヒト
デが大発生している時に他のヒトデも大発生しているか
ヒ
トデ類の初期発生にはいくつかの決まったパターンがあるが、大型の種類では種類によらずほぼ同じである。もしオニヒトデの大発生が幼生時代の餌が多くなる
とか捕食者が減るといった幼生時代に特有の理由で起こっていたとすれば、幼生時代の形態、行動、浮遊期間、その他が同様なマンジュウヒトデやアオヒトデな
ども一緒に大発生してよさそうなものであるが、そのような事例(他のヒトデ類も同時に大発生)は見られてこなかった。
オニヒト
デの大発生で利益をうける生物、あるいは人があるか
食べられて死んだサン
ゴ骨格に海藻が生育するが、それを食べる魚類や貝類などが増えている場合もあるようだ。そして、増えた魚貝類を収穫できるならば漁民には利益があるだろ
う。
焼いて食べたら美味し
かったという未確認情報があるので、それが事実であるかを確かめてみたいが、そのためには人体実験の協力者が必要である。この質問者はやってみる気はない
か。
そもそも
オニヒトデという生物はなぜ存在しているのでしょうか
どうやってこのヒトデ
が出て来てサンゴを食べるような生活をするようになってきたかということは「進化」を考えることになる。存在そのものを問うならば宗教・哲学の問題となる
だろう。
餌
となりそうなものがあるとき、それを襲うような別の生物が進化して出てくるのは時間の問題である。防御と攻撃の関係は、食べるものと食べられるものの間
に、生き残りをかけた、しのぎをけずる共進化が進む。オニヒトデはすべての造礁サンゴを等しく食べるわけではなく、生長が早く量的に多いサンゴ類を好んで
食べているようである。生長が遅くて劣勢であったサンゴがサンゴ種間の生育空間を巡る競争から、オニヒトデに助けられて開放される効果も出ているだろう。
また、サンゴ礁はオニヒトデに食いつぶされた後のリセット・リスタートにより、群集の復活をかけた繁殖競争が起こるが、それはサンゴ群集の若返りともなる
かもしれないし、メンバー交代などの結果で新しい群集に質的に変化したりするかもしれない。外圧で試されながらたくましく生き残る生物は別の新しい外圧に
耐えるような性質を獲得して自らを将来に向けて維持できるのかもしれない。
温室で保護された栽培
植物や人間に守られた家畜は一定の枠内に維持管理された環境の外ではまず生き残れない。人間が自らを「自己家畜化」している現状は人類滅亡の準備を自ら進
めていると見てもよいだろう。