八重山毎日新聞
2003年 1月10日(金) 




オニヒトデの警戒強める

サンゴ礁研究センター

石西礁湖中心に急速に分布

小型個体の占める割合が高い


 オニヒトデが大発生するおそれが指摘されていることから、環境省国際サンゴ礁研究モニタリングセンターが昨年10−12月に、八重山環境ネットワークと 八重山サンゴ礁保全協議会、八重山漁協にオニヒトデの目撃情報の提供を呼び掛けたところ、石垣島や竹富町内の島々を含む礁池、通称・石西礁湖を中心にして オニヒトデが急速に分布を広げていることが分かった。同センターでは「基礎的なデータなど判断基準がない」と慎重な姿勢ながら、「オニヒトデ集団が発達し つつある恐れがある」として警戒を強めており、さらに情報収集を進める考え。

 八重山サンゴ礁保全協議会では「オニヒトデ大発生は、いろいろな要素から考慮して可能性は大であり、今年から起こることを想定して具 体的な対策をとる必要がある」と、早急な対策の実施を呼び掛けている。
 調査には、同センターと3団体などから33人が参加し、オニヒトデの目撃場所や個体数、大きさなどを取りまとめた。
 このうち、石西礁湖について、場所と個体数、大きさの3点についてデータが得られた竹富島の南側から黒島周辺にかけての海域に分布する12カ所について みると、▽小型個体(直径20センチ程度・生後2年程度)=31匹▽中型個体(同30センチ程度・同3年程度)=38匹▽大型個体(同40センチ程度・同 4年程度)=16匹−の内訳だった。
 12カ所のうち、7カ所では小型個体の占める割合が高かった。大型個体が確認されたのは4カ所だった。
 同センターでは、こうした個体の定着・産卵や新たな個体の加入によって、オニヒトデが増加することは間違いないとみており、注意深く推移を見守っていく 考え。
 八重山地方では80−84年ごろにオニヒトデの駆除数が10万匹台を記録した。この大発生のために、石西礁湖ではイシサンゴ類などが壊滅的な打撃を受け ていた。

昨年8月、黒島沖で発見された小型のオニヒトデ(環境省国際サンゴ礁研究モニタリング センター提供)


オニヒトデが大発生の兆しを見せている。石西礁湖 のサンゴ礁にオニヒトデが定着・産卵するおそれがあり、オニヒトデ集団がさらに発達する可能性があるのだ。水産業やマリンレジャーに携わる人たちの間で は、80−84年ごろの大発生によってサンゴ礁が食い荒らされたのを知らない世代も増えており、ベテランダイバーの1人は「オニヒトデの大発生がどれだけ 深刻なものかを分かってもらうのが難しい」と悩む。