八重山毎日新聞
2004年 1月 23日(金) 

サンゴ礁保全協 稚オニヒトデの食痕を確認

「大発生海域と変わらぬ量」と懸念

真栄里海岸沖

 八重山サンゴ礁保全協議会(吉田稔会長)は22日午前9時から真栄里海岸の沖合約1キロのサンゴ礁で、稚オニヒトデの生息状況 を調べる初めてのモニタリ ング調査を行った。同協議会の会員8人が2カ所で1時間ずつ潜水調査を行った結果、稚オニヒトデによるとみられる食痕を10―30カ所で確認し、直径 1.2センチの稚オニヒトデを1匹捕獲した。
 吉田会長は「沖縄本島や慶良間諸島のオニヒトデ大発生海域とあまり変わらない量の食痕を確認した。今後のオニヒトデがどのように出現するか心配」とコメ ントし、オニヒトデの発生状況をさらに注意深く見守る必要性を強調した。
 オニヒトデは去年、沖縄本島や慶良間諸島で大発生しており、石西礁湖でも大発生が懸念されている。このため、同協議会では、モニタリング調査を通じて、 オニヒトデの生態や大発生に至るプロセスを明らかにするのに必要なデータを収集していくことにした。  同協議会では今月28日をめどに2回目のモニタリング調査を行い、食痕などをチェックする計画。2月以降は、昨年駆除活動を行った海域のサンゴが食害を 受けていないか再確認し、大発生につながる兆候をチェックしていく考え。
 この日のモニタリング調査では、リーフの縁にあたる水深10―15メートルの海域で実施。参加したダイバーが海中電灯で調べたところ、稚オニヒトデが石 灰藻と呼ばれる藻類の一種を食べた跡が、岩に白っぽく付着しているのを確認することができた。
 稚オニヒトデの捕獲数が1匹だったことについて、吉田会長は「このころの稚オニヒトデは、岩陰に隠れることが多くなり、容易に発見できないのが原因」と している。
真栄里海岸沖合でのモニタリング調査で確認された稚オニヒトデによる食痕(中央の白っ ぽい部分)=八重山サンゴ礁保全協議会提供


<ダイバーは悲鳴>

この冬一番の寒さとなった22日、八重山サンゴ礁 保全協議会の稚オニヒトデモニタリング調査に参加したボランティアの会員8人は海に潜り、稚オニヒトデやその食痕を探した。多数の食痕を発見し、モニタリ ングの必要性をあらためて実感させるなど、調査は成果を上げた。次回は28日を予定しているのだが、参加したダイバーからは「とにかく、もう少し温かく なってから潜りたい」という悲鳴も。サンゴを守るには、オニヒトデだけでなく、寒さへの対策も欠かせないようだ。