八重山毎日新聞
2002年11月30日(土) 

漁業体験ツアーで水産長官賞

石垣市の仲田森浩・和枝夫妻

アイデア、2人3脚の取り組み評価


 【那覇】石垣市で漁業を営みながら資源管理の一貫として観光客を相手に漁業を体験してもらうエコツアーに取り組んでいる仲田森浩(41)・和枝(39) さん夫妻が28日、農林水産省男女参画協同推進本部主催の「男女共同参画に向けての私たちの夫婦と仲間のコンクール」で水産庁長官賞を受賞した。

 仲田夫妻は29日、県に天願貞信農林水産部長を訪ね、受賞報告。石垣島以外では少ない漁法のかご網漁について天願部長は「初めて知っ た」と目を丸くし、「ツアーはいいアイデア」と受賞をたたえた。
 森浩さんは獲るだけの漁業では資源の減少で漁業経営が厳しくなるとして3年前から夏場を休漁、代わりに「海人体験ツアー」を始めた。和枝さんが予約受け 付けや料金の精算などツアーのコーディネート、森浩さんが現場での案内をそれぞれ担当。実質的にツアーを取り仕切っている和枝さんの女性能力の発揮という 点と、環境に配慮した漁業という今後の水産業の一つのモデルという点が評価された。
 今年で3年目に入り、ツアー客は7−9月のツアー期間で400人を超え、採算性が出るようになった。ツアーには2人の漁業者が協力しているが、他の若い 漁業者からも体験ツアー実施を検討中という。
 森浩さんが「獲る仕事は自分1人でできるが、ツアーでは妻が事務的な対応をやっている」と2人3脚での運営を強調すると、和枝さんは「専業主婦だったの で、いかにお客さんに喜んでもらうか苦労した。会話をたくさんするよう努力している」と話した。

天願貞信農林水産部長に、体験ツアーについて説明する仲田森浩・和枝さん夫妻=29日 午後、県庁