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社  説
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市は赤土対策課を設置せよ

−パフォーマンスだけの市の取り組み−

 ここ数年、赤土対策への関心、取り組みが各面で急速に大きく盛り上がっている。ところがその割には実効は一向に上がらず、「掛け声倒 れ」というのが実情。特に石垣市は昨年9月、「全庁態勢で取り組み、目に見える形で成果を上げたい」と、鳴り物入りで企画開発部内に対策本部(本部長・大 浜長照市長)まで設置したが、これも今までのところ取り組みが弱く「看板倒れ」の状況にある。
 

新空港実現のかぎ握る赤土対策 
 赤土対策への関心がこのように急速に大きく盛り上がっているのは、石垣市の長年の懸案である新石垣空港建設にようやく解決の方向性が見え、その鍵を握る のが「白保海域のサンゴ礁をいかに赤土汚染から守るか」のほぼ一点に絞られているためだ。
 本土の自然保護団体を中心とする反対派は、新石垣空港建設に伴う赤土流出で「世界的に貴重な遺産」である白保海域のサンゴ礁が壊滅的な打撃を受けるとし て、建設予定地内のおよそ500坪の土地に共有地主を募り、深く静かに潜航して反対運動を展開している。
 そのため国や県も、当初の20人余が200人近くに増えた共有地主の増加に懸念を示し、これに石垣市や地元経済・産業団体らも「赤土問題の解決無くして 新空港建設はない」「白保のサンゴも守り、新空港も造ろう」と、赤土対策への関心、取り組みが大きく盛り上がった。 

掛け声は勇ましいが… 
 昨年2月には、市商工会や観光協会などの経済団体が主となって石垣島赤土流出防止協議会(会長・山田隆一石垣市商工会会長)を立ち上げ、赤土問題は復帰 後の急激で大規模な農地開発の“負の遺産“であり、国が国営事業として解決すべきものとして、3月に初の市民集会を開いたのを始め、8月には県、国に要 請。
 また、石垣市も大浜市長が「国営事業でぜひ解決したい。その上で反対派の理解を得て新空港も決着を図りたい」と同年9月、対策本部を設置、11月には 県、国に要請も行った。
 この結果、4月にプライベートで訪れた際、鳩間八重山支庁長らの要請で現地視察を済ませていた田中直紀農林水産副大臣の積極的な対応もあって、轟川や新 川川のモデル事業などいくつかの事業が芽出しし、水質保全対策事業も予算の増額という成果があった。しかしそれでただちに防止対策が図られるというもので はない。
 このうち法面保護や沈砂池、勾配修正などで耕度流出を防ぐ、ほとんど唯一といえる赤土対策の水質保全対策事業は、石垣市は94年度からそれぞれ5−9年 の継続事業で実施されているが、石垣全域に事業地区を拡大し予算増となった今年度分を含めても、事業費総額は8地区で約27億円に過ぎない。これは単年度 に振り分けると1地区最高で9000万円足らずで、長年赤土が問題になった割には県の取り組みは弱く、また新空港絡みで常にこの問題が指摘されて来た割に は石垣市の取り組みの弱さも否定できない。 

環境保護の試金石 
 大浜市長は、ことあるごとに「赤土対策には万全を期したい。そのためには洞窟にいったん流してでも赤土を止めたい」と決意を口にしてきた。しかし現実の 対応は、住民運動を起こしてでも実現したいと話していた国営事業化はトーンダウンし、かといって独自の対策事業を実施するでもなく、予算は国、県頼み。
 そしてみずからが本部長となり、全庁態勢で取り組み、「目に見える形で成果を上げたい」と、看板設置式までしてスタートした赤土対策本部は、企画開発部 の地域振興室に係りが配置されただけで、目に見えた具体的で積極的な取り組みは見えず、「市は掛け声だけ、パフォーマンスだけ」といわれてもやむを得ない 面がある。
 その点はむしろ県八重山支庁のほうが、その活用を目指して鳩間支庁長みずからが島内の沈砂池を240余あると踏査して調べ上げただけ積極的に取り組んで いるといえよう。
 赤土対策はいうまでもなく何も新空港のためだけ、反対派のためだけにあるのではない。これは農地と農業を守り、八重山の美しい豊かな自然を次代にしっか りと引き継ぐ、いわば環境対策の一つの試金石といえるものだ。それだけに石垣市は「赤土対策課」を設置し、市議会も独自に特別委員会を設置、それぞれが重 点的に専門的に対策を講ずる必要があろう。赤土問題はすでに待った無しの状況にある。