土曜リポート


「赤土対策」に動き出す

石垣市観光協会 行政批判では解決にならず

行動する運動体組織化へ

 赤土流出防止に対する関心が高まっている。昨年の赤土監視ネットワークによる実態調査、大浜長照市長が開催を発表した赤土流出防止を 求める市民大会、石垣島周辺海域環境保全協議会の研修会など、これまでになく動きが活発になってきた。ただ、赤土問題に関する団体は数多い割にはこれまで 本格的な対策を求める具体的な行動はみられなかったのが実情だ。石垣市観光協会が中心となって設立を準備している「石垣島赤土防止回復協議会」(仮称)は 行動する団体と位置づけられており、今後の活動に注目したい。

(比嘉盛友記者)
 石垣島周辺海域環境保全対策協議会が去る5日に八重山支庁大会議室で開催した「農地における赤土流出防止対策研修会」。研修会後の 意見交換で出席者から「いつ対策が実施できるのか、見通しはあるのか」「県が、赤土が流れ出すような構造の土地改良事業を展開してきた。県はその責任を認 めよ」という意見が相次ぐなど県と対立するような場面があった。
 別の出席者の1人は研修を振り返って「たしかに県の責任追及は正論かもしれないが、対立では問題は解決できず、議論は堂々めぐりとなる」と指摘した。
 県も過去の反省を踏まえて流出防止調査や防止対策事業に取り組んでいるが、これが成果を上げられないのは事業規模が小さいからだ。
 石垣市観光協会の池間義則副会長の調査によると1990年以降、赤土防止対策に関する調査は行政機関のものだけで約80件にのぼる。
 「これだけ調査をしているのに、一向に改善しないのは金がないからとみた」と話す。現在の制度では予算も乏しく、対策に取り組む組織も弱体で効果を挙げ られない。つまり、現在の制度では抜本的な解決はできないというのだ。
 現に大浜長照市長が発表した赤土対策を求める市民参加型の大会は、当初は市で主催を検討していたが、その後の内部の議論で「土地改良を推進してきた行政 機関が主催するのはおかしいのではないか」と内部矛盾に陥った。結局、市観光協会が中心となって設立準備を進めている民間組織の協議会で主催する方向で落 ち着いた。
 このことからみても、行政問題としての解決は困難を極めることが予想される。
 だからこそ政治問題として訴える必要性があるという池間副会長は「行動する団体として協議会を立ち上げたい」と決意する。
 協議会は赤土流出防止対策のための予算化・組織化を求めるのが大きな目標。今後は28日に赤土流出防止を求める大会を開くが、そこから赤土問題に対する 機運を高め、市民運動として具体的な行動につなげていくことが求められている。
 
要請する団体としての「石垣島赤土防止回復協議会」(仮称)の設立について承認した石 垣市観光協会の理事会(1月19日)