県営水質保全対策事業(耕土流出防止型)

1999年4月18日
当日の降雨量は気象台名護観測所で85mmである

撮影・ページ責任者
 この事業は宜野座村漢那地区で施行され、農林水産省の補助事業であり事業主体は沖縄県である。
工期は平成5年〜平成8年、総事業費は208,505,000円、受益面積73ha。
事業概要は沈砂施設6基とある。












 この土地改良区は明記原(ミーキバル)と呼ばれるところで、すでに土地改良事業は終了しているものの耕作はされておらず、裸地対策として植物が植えられている。
写真は沈砂マスで、右側の一槽目の沈砂池(沈殿池)につながっている。













 土地改良事業の時に作られた防止施設としての沈砂マスは土砂に埋まり、荒れほうだいとなって、土砂流出の発生源となっている。
この沈砂マス自体、濁水が貯留されないために中央の小石のフィルターは土砂の詰まった形跡もなく、フィルターとしての役目をしていない。













 右上フェンスに囲まれた一槽目沈砂池からつづく二槽目沈砂池。
降雨中は常に流水で攪拌されているために、共に沈殿効果はほとんどない。















 二槽目の沈砂池から、三槽目の沈砂池に排出される濁水。
一応フィルターとして小石を使用しているが、濾過機能はほとんどない。















 三槽目にあたる最終沈砂池。
県赤土等流出防止条例に照らせば、ほんらいこの沈砂池で150mmまでの雨量に対し、24時間程度濁水を貯留して土砂を沈殿させてから200ppm以下の上澄みを排出しなければならないが、150mmまでの対応規模もなく降雨中の沈殿効果は期待できない。












 最終沈砂池から排出される土砂の混濁した濁水。
ここでも、砂防ダムの設計基準からぬけられずに従来からの同じ過ちを繰り返している。
農地に対する根本的な防止対策もせずに、沈砂池で流出を止めようとの対策は「焼け石に水」のたとえ通りである。












 最終沈砂池から排出された濁水が、三面コンクリート張りされた排水路を800メートルほど離れた海に向かって流れる。

結果としてこの事業は、73haの農地に降る雨によって生じる土砂混じりの濁水を、効果的に集積し、一気に海へ排出する事業といっても他ならない失敗例である。