沖縄でやってはいけない治山事業

やんばるの自然を破壊し続ける公共事業
1999年

撮影・ページ責任者
 今、「やんばる」と呼ばれる沖縄本島北部、大国林道や他の既存林道で奇妙な公共事業がおこなわれてる。
工事がおこなわれる前は、小さな小川や沢として周辺の様々な生き物たちの生息の場であったところだ。
人目につかないような場所に写真のような施設が数十カ所も作られている。
かっては、国の天然記念物であり絶滅危惧種に指定されているノグチゲラやヤンバルクイナが水浴びに訪れていたところでもある。
この工事の正式名は「治山事業(辺野喜水源地域緊急整備治山工事−その2)」とある。事業主体は建設省である。

 



上の写真の裏側、上側部分
 ここの工事現場は、平成9年6月30日から12月末までの工事で設置され、平成10年3月には、すでに写真のように半分ほど土砂に埋まっている。
本来この場所は土砂の流れるような場所ではない。

 この施設を作るために工事材料や工事機械などを搬入する目的で急斜面の山肌を切り取った臨時道路が作られた。
その後、道路のノリ面や削り取った山肌が雨の度に崩落して土砂の流出源となっている。
 ここでも、土地改良事業と同じく国の砂防ダムの設計基準の導入が周辺の環境破壊を導き、赤土汚染を更に悪化させる原因となっている。





 本来、このような砂防ダムは石や砂礫の崩落や流出を止めるために設計されたもので土砂混じりの濁水をくい止める機能はまったく持っていない。
そればかりでなく、このような工事をおこなうことによって更に赤土汚染を増長させ、周辺生物の生息環境をも破壊したことになる。

 このよにして、無謀な工事が次々とおこなわれ、一つの砂防ダムが埋まると、その下に次の砂防ダムを作るという、あきれた事態となっている。







 周辺生物の生息環境も破壊するこの事業は、建設省によって山々の人目につかない場所でおこなわれている。
国と県は、土砂流出(赤土汚染)を防止するための施設と言い、更に土砂流出を促進させている公共事業。
 この日、調査に同行したメンバーからも、深いため息がもれた。
誰のための公共事業なのか・・。








 これは治山事業に名を借りた土建屋事業であり、これ等の工事現場から出る工事残土は、左写真の残土捨て場となっている谷底に集められている。
ここでも、雨が降ると濁水となった土砂は下の沢に流れ、沢から川に、そして海に流れ込んでいる。

 この事業は、国土保全の名目で自然環境を破壊しているものであり、建設省がおこなう事業ではない。
今すぐ止めるべき事業であり、南西諸島でやってはいけない事業である。